階級「断絶」社会アメリカを久々に読んだ感想

確か大学生の頃、この本を読んだ。

https://www.amazon.co.jp/階級「断絶」社会アメリカ-新上流と新下流の出現-チャールズ・マレー/dp/479421958X

読んだっきっかけは「階層化日本と教育危機」を読んでその手の本に興味をもったからだったはずだ。

https://www.amazon.co.jp/階層化日本と教育危機―不平等再生産から意欲格差社会-インセンティブ・ディバイド-へ-苅谷-剛彦/dp/4842085258


当時、学生だった自分にはピンと来なかったのを覚えている。
あれから数年たち、社会人になって周囲の環境も大きく変わった。学生の頃はせいぜい周りにいる歳上というのは20代後半だったし、そんなに深い付き合いもしなかった。
社会人になってからは、参照可能な大人達の枠が大きく広がった。上を見れば50代もいる
そんな彼らを見た上で、本書を読むと幾分かの納得とそして虚しさを覚えた。

本書は、アメリカに何が起きているのかというのを事実から帰納していった本だ。
2010年代に書かれたものだが、恐らく現状は今も変わっていない。
この本の根底にあるのは、富める者と貧しい者の終わりなき再生産だ。書かれていることを正とするのであれば、現代社会はIQ至上主義となっている。
現代の社会では、高IQの人々が"優れた"職種についている。彼らは意思決定が出来るし、社会に影響を及ぼす力を持っている。
そんな高IQがどこから来ているかといえば、遺伝だ。父と母のIQが高ければ、自ずと子供のIQも高くなる。
そしてIQの高い子供達はやがて大人になり、そしてIQの高いもの同士で結婚し再生産を行う。
低い者も低い者同士で同じことが起こる。
そうしてIQの高い者と低い者が再生産されるだけならまだ救いはあるが、行動様式が更なる格差を生み出す。

アメリカの一般的な人々は週に35時間以上テレビに時間を費やすという。当然、高IQの人々はその"一般"には含まれない。
一般に含まれない彼らは仕事と自己研鑽に時間を費やす。そしてより上に登っていく。
そんな行動様式は当然親から引き継がれる。その再生産には終わりがない。
貧しい者は貧しいから貧しいのであり、富める者は富めるから富めるのである。
そこに救いはない。我々はこの構造から恐らく抜け出せないのだろう。